稽古の内容

竹内流備中伝の稽古内容

小具足腰之廻

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日本最古の武芸書といわれる『本朝武芸小伝』(巻之九、1714年)には「小具足、捕縛はその伝承あること久し、もっぱら小具足をもって世に鳴るものは竹内なり、今これを腰之廻という」とのくだりがあります。
竹内久盛が愛宕神の啓示を受けて創始した表形二十五ケ条の形が流儀の武術全般の骨格を形成しているため、この小具足腰之廻の習得なくしては、竹内流を学んだとは云えないほど重要なものです。
捕手・破手

備中伝の拳法躰術(体術)には、手解(てほどき)、受身、当身技、投技、関節技、絞技などが含まれます。立った状態からはじめる立合(たちあい)技、座った状態からはじめる居合(いあい)技のほか寝技(ねわざ)など技術を古伝の形の反復稽古により習得します。相手は、素手または得物(武器)をもって攻撃してくる場合を想定した形となっています。

拳法体術は「捕手」と「破手(羽手)(はで)」に二分されます。やや大づかみにいうと、捕手は自ら相手を取り押えようとする先制技、破手は相手の攻撃を防ぐ後攻技です。
剣法斉手

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竹内家は清和源氏の子孫であるため、久盛は家伝の源氏の剣法の稽古をしていました。久盛は老翁の山伏から小具足腰之廻や捕手を授かり、流儀を創始した後でも、武士としての剣術の稽古は怠らず続けていました。 特色としては、中世の太刀の用法も含み、斎手と称する組太刀を稽古します。一般の古流剣法の技と比較すると体術の要素が多く、当身、投げ、関節を極めるという流れに変化する形も多いため、体術の稽古と平行して行います。

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また、開祖久盛、二代目久勝、三代目久吉は小柄であったため、その体躯を利用して跳躍したり(「飛足」)、小具足腰之廻のように小太刀を用いたり、組討に変化したりする形もあり、「剣術」を主体とする「すり足」中心の足遣いとは異なる点が特徴です。道歌に「かざしたる太刀の下こそ地獄なれ、踏み込んでみよ奥は極楽」という歌があります。
居合抜刀術

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刀を抜き打ちにして敵を討つことを目的とした形です。抜き打ちの一瞬を大切にすることから抜刀術ともいいます。片手で剣を抜き付けた後の、柄を両手で握った場合の攻防の変化は剣術と同様であるため、斎手と平行して稽古する必要があります。

初心者は安全な模擬刀を使用して稽古しますが、日本刀に関する一定の取扱いや見識を持ち、師範から真剣の使用を許された者(三段以上)は、真剣を用いて稽古します。体の動きと呼吸を合わせることにより、動きの緩急が自在にできるようになるほか、呼吸や精神などの内面観察を通じて、健康・体力維持ができるため、女性や高齢者にも稽古を始めやすいと思われます。また、日本刀は世界に誇るわが国独特の武器、神器であり、美術品である。刀剣の取扱いを通じて、日本の伝統的精神文化を学ぶこともできます。

棒杖術

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備中伝では「棒」を武器術の修行の基本としています。棒は「打たば太刀 払えば長刀突かば槍 とにもかくにも はずれざりけり」と道歌にうたわれているように、各種武器の基礎となることから、竹内流では棒術の稽古をかかさず行います。入門者は先ず棒術の形稽古からはじめます。棒術では主に六尺棒を使いますが、竹内流では、この六尺(一間)の長さの棒を「けんぼう」といい「剣棒」、「間棒」の字を当てます。

この六尺棒(間棒)から、真棒→杖→半棒と、どんどん寸法を詰め長さ一尺三寸の鼻捩子まで多種多様の長さの棒を使い、それぞれの長さ、特性に応じた型・技を修得していきます。 上級者になれば「槍」も「薙刀」も稽古しますが、自分の身の丈よりも長い得物を扱う方法については、初伝の段階から六尺の剣棒術を稽古することにより、小手先でなく体全体(体幹)で棒を操作する事を徐々に習得していきます。

 

捕縄その他武器術

捕縄

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捕縄は捕手の範疇に入り、迅縄(七尺五寸)や本縄(十六尺五寸)があり、麻製の縄が主に使用されます。
十手術

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十手術は賊を生け捕るための武術で捕手の範疇に入り、捕縄術と一体となっています。江戸時代においては、竹内流は捕手の有名な流派(日下捕手開山)であったため、捕方の門人も多数いました。竹内流備中伝の十三代師範山崎久治信正先生は与力職でした。

因みに、捕り方の十手は、与力、同心、代官、手先、岡っ引き、番太など役職、身分により、その携行の仕方にも違いがありました。十手は室町時代からあり、戦国時代の長い十手や実際に捕り物に使用する長十手もあります。基本的には小具足腰之廻で使用する小太刀の用法が応用されますが、刀で切り掛かってくるものを捕らえるため鈎や、鍔が付いているものもあり、それぞれ形や材質(木製のものもある)によって、その特徴を生かした使い方になります。
薙刀術・槍術

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鉄扇術

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小具足腰之廻で使用する小太刀の用法がここでも応用されます。おうぎ(扇)を使うだけに奥儀ということも考えられますが、竹内流の道歌に次のうたがあります。

「兵法は 奥義も口(くち)も なきものを 口よくなれば 奥もよくなる」

鎖鎌術

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一尺三寸の柄に鎌形の刃を付け、鎌の頭に鎖を付けます。鎌の扱いについては、小具足腰之廻で使用する小太刀の用法が応用されます。
手裏剣術

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主に棒手裏剣を使用します。棒手裏剣の場合、直打法または廻転法で打ちます。
竹内流備中伝で稽古できない武術

竹内流備中伝は総合武術ではありますが、稽古できない武術として馬術、弓術、鉄砲術、水術などがあります。これは、竹内流は山岳武道であり、発祥地である美作国が山深い峻険な自然環境であったことによるといわれます。
山深い峻険な自然環境

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