その他の武器術
竹内流は総合武術であり、小太刀を用いる捕手腰之廻の術をベースに派生した破手(羽手ともいう拳法体術、いわゆる柔術)、剣法斎手(太刀)、抜刀(居合)、棒、捕縄術などその他の武器術があります(竹内流で経験のできない技術は、馬術、弓術、砲術、水術です)。
竹内流には伝承されている種目や形が多く、全てを稽古することは困難であるが、主立った種目の拳法体術(柔術)、棒術、小具足腰之廻を習うことで、総合武術としての技や体ができる。
これに剣、居合を加えれば申し分ない。また、その種目の形の数を習うよりも基本の形を充分に身につけ、古武道の本質を会得することが大切である。
能力に適した種目や興味のあるものから始めてよい。幼年者は基礎的な体力を養成することも大切である。柔道的な運動と剣道的な運動を平行して続けることにより、均衡のとれた体付きになる。これが総合武道の利点でもある。
ここに挙げたその他の武器術は、基本となる体術、棒術、剣術、小具足術などを学びながら合わせて稽古するものです。手にする武器と体の動きが一体にならないと、武器を使うことができません。入門者は素直な気持ちで、師や兄弟子の教えに従い稽古を継続することが一番大切です。
自らの得物は自分で作るというのが原則ですが、必要に応じて市販品や手じかなもので代用する場合もあります。
槍
刀は突くもの槍は切るもの。
薙刀・長刀
長さは主に七尺(刃は一尺)。
■備中伝の薙刀之型としては次のようなものがあります(一部抜粋)。
●構え
上段、中段、下段、八相、後刀(脇構)、霞、小脇
●基本技
唐竹割(真向面斬、左右面斬、小手斬)、廻刀(同左)、払刀(上段、中段、下段)、槍用(直突、繰突、払突、巻突)、執手返(上段、中断、下段)
●初伝、中伝、奥伝
■宗家伝の薙刀之型としては次のようなものがあります(参照「日本の古武道」)。
●前段八ヶ条
水車之事、雨垂之事、風生之事、立戦之事、鷹沖之事、勢龍之事、正生之事、虎乱之事
●中段八ヶ条
陽戦之事、風用之事、村雲之事、竜飛之事、虎翼之事、羽落之事、大蛇之事、地裁之事
●奥太刀合六ヶ条
腰焔之事、稲妻之事、浦調子之事、水月之事、鷹之羽返之事、鷲落之事
●奥伝槍三ヶ条
水車之事、準船之事、松風之事
●極意六ヶ条
川雪之事、並技之事、村雨之事、柄留之事、二段突之事、水流之事
半棒
長さは三尺六寸二分で、剣棒が折れた場合を想定した長さ。
捕縄
迅縄(七尺五寸)、本縄(十六尺五寸)があり、麻製の縄が主に使用される。
杖
長さ三尺六寸二分(剣棒より細い棒)を使う。
十手術
竹内流では十手術は小具足腰之廻の応用であり、柔術捕手の範疇に入る。
江戸時代においては、竹内流は捕手の有名な流派(日下捕手開山)であったため、捕方の門人も多数いた。備中伝の竹内流十三代師範山崎久治信正先生も与力職であった。
捕り方の十手にも、与力、同心、代官、手先、岡っ引き、番太などそれぞれ違いがあり、その携行の仕方にも違いがある。
十手は室町時代からあり、戦国時代の長い十手や実際に捕り物に使用する長十手もある。賊を生け捕るための武器で、捕縄術と一体となっている。また、役職、身分により形が違う。
刀で切り掛かってくるものを捕らえる為鈎や、鍔が付き、木製のものもある。
鉄扇
小具足腰之廻で使用する小太刀の用法がここでも応用されます。おうぎ(扇)を使うだけに奥儀ということも考えられますが、竹内流の道歌に次のうたがあります。
兵法は 奥義も口も なきものを 口よくなれば 奥もよくなる
鎖鎌
一尺三寸の柄に鎌形の刃を付け、鎌の頭に鎖を付ける。左手で鎖分銅を右手で鎌を扱う。鎌の扱いについては、小具足腰之廻で使用する小太刀の用法が応用されるものも多いと思われます。
手裏剣
主に棒手裏剣を使用するが、十字手裏剣、六方または八方手裏剣を使用する場合もある。棒手裏剣の場合、直打法または廻転法で打つ。
火箸
囲炉裏端などにおける火箸の用法ですが、小具足腰之廻で使用する小太刀の用法がここでも応用されます。
かつて火鉢は日本の家庭に必ずといっていいほど当たり前にある道具でした。火鉢は暖をとるだけでなく、鉄瓶で湯を沸かす、餅をやく、タバコの灰皿になる、アイロン代わりにもなるなど、一つの道具が何種類もの機能を果たすものでした。
そして、その火鉢になくてはならない火箸についても、本来の役割に使うだけでなく、武器としても使う。
日本の暮らしの空間にはものが少なくてすむ中で、身の回りにある日用品も護身に使う、使えるように工夫する。こうした発想も竹内流の知恵なんです。
煙管
無刀で座敷に通される場合は、護身用として煙草入ときせるとを腰から離してはいけない。鉄のきせるであれば、小太刀と同じ効果を発揮できる。
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