居合抜刀術

竹内流の居合抜刀術

刀を抜き打ちにして敵を討つことを目的とした形である。抜き打ちの一瞬を大切にすることから抜刀術ともいう。片手で剣を抜き付けた後の、柄を両手で握った場合の攻防の変化は剣術と同様であるため、斎手と平行して稽古する必要があります。

初心者は安全な模擬刀を使用して稽古しますが、日本刀に関する一定の取扱いや見識を持ち、師範から真剣の使用を許された方(三段以上の方)は、真剣を用いて稽古します。体の動きと呼吸を合わせることにより、動きの緩急が自在にできるようになるほか、呼吸や精神などの内面観察を通じて、健康・体力維持ができるため、女性や高齢者にも稽古を始めやすいと思われます。

また、日本刀は世界に誇るわが国独特の武器、神器であり、美術品である。刀剣の取扱いを通じて、日本の伝統的精神文化を学ぶこともできます。

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<参考>
法令上は「登録証」の付いている日本刀・刀剣であれば、誰でも(段位によらず、美術品として)所有したり譲渡することができます。しかし竹内流では、上記の通り、日本刀に関する一定の取扱いや見識を持つ方に、真剣を扱っていただくこととしています。これは、人のみならず自らを傷つけない取扱いが必要だからです。日本刀・刀剣を所有するのには、猟銃のような「所持の免許」といった警察の許可は要りません。「登録証」は日本刀・刀剣一つひとつにひも付くもので、猟銃のように所持者が取得する「所持の免許」は不要です。

ただし、法律の定めにより、日本刀・刀剣を入手した日から20日以内に「登録証」の記載事項をもれなく記入し、その日本刀を登録した各都道府県教育委員会宛てに住所、氏名(ふりがな)捺印をし、銃砲刀剣類等所有者変更届を郵送する必要があります。なお、刀剣類と同様に古式銃砲も「登録証」の付いているものならば所有、譲渡することができます。また日本刀・刀剣であっても刃長が15センチに満たない物は「登録」の必要はありません。

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剣法居合の型(宗家伝)は次の通りです(「日本の古武道」参照)。

●前抜刀七ヶ条

真行草之事<真、行、草>、小手返之事、離切之事、冠落之事、四方固之事

 

●中抜刀七ヶ条

小手切之事、投打之事、柄砕之事、十文字之事、中道之事、請流之事、伏切之事

 

●奥抜刀七ヶ条

鐺留之事、向切之事、三方切之事、冠落之事、月影之事、稲妻之事

 

居合刀(上から見た画像)

居合刀

【剣の運用例<真之形>】
抜付においては、手掛りをして、正座から左膝を立てた段階で、刀は3分の1ほど抜けており、抜刀と同時に足を飛違い正面の仮想の敵の首を斬る。

打下を行う前段として、切先から上段に振りあげる途中で左手を柄に添えて握 り、天を突くように振上げた刀を振り下ろす際には、45度以上倒れることがない よう、真向面斬りに水平線まで切下ろす。なお、打下ろす際には樋入りの居合刀で あれば、羽音がするように鋭くかつ刃筋を立てて打ち下ろしすこと。また、振り下ろし たら両手を下腹に引きよせるようにして引切りにすること。

血振を行うにあたっては、切下ろした刀を直ちに上段に振上げ、右八双構えに 移り、相手の倒れる方を見ながら刀を大きく右廻りにゆるりとまわし、正面より 少し右の位置で切先をとめ、鍔が膝前に出ないように刀を左手のみで持ち、右手で 柄を一回転させて右拳で左柄手の小手をうつ。

納刀については、右逆手で柄を握り、左手の拇指と人差指で鯉口をつかみ(鯉口が隠れるくらい覆うように握ります)、切先を左側へ廻して納刀します。

━ 鯉口とは鞘の入り口部分の名称です。鯉が口を開けた様に見えるためこう言われます。

残心は、倒れた相手をみながら若干間をおき、三指(親・人差・中指)で柄を縁 から頭まで擦って柄頭の右にあて右手で合掌するように二回撫で九字を切ります。両手をゆっくり両股の付け根に添え軽く置き、眼は「遠山の目付」に戻し、三呼吸して次の形を行います。

この真之形には、大事なポイントが凝縮されているため、この注意点をひとつ ひとつ確認して体になじませることが、大切な作業になります。

正確な形の教授を通して、呼吸法や目付け、手の内等を指導者に見てもらい、手直しをしてもらうことが大切である。とくに初心者のうちは我流になりがちであるほか、後になればなるほど直しにくい癖がつきやすいので十分基礎を習得する必要があります。

抜き付け時の手掛かりや納刀時の鯉口の扱いには注意して稽古して下さい。慣れないうちは大刀のみで居合抜刀術の稽古をしても構いませんが、高段者は小太刀を差して、二本差しで稽古を行ないます。

備前刀・備中刀

室町時代までの日本刀(古刀)の三大生産地は、大分・豊後高田、岡山・備前長船、岐阜・関であるが、備前長船はその地に伝来の技術を今日まで伝えている。

備前長船の一帯は平安のころから鍛冶が盛んで中世には国内最大の刀鍛冶の集落を形成し、数多くの名工たちを輩出してきた土地である。

刀の大生産地であった理由は、吉井川の上流の美作や吉備地方に良質の砂鉄が採れ、玉鋼をつくるタタラ者を通じて材料の供給が容易であったこと、加えて商品経済の基本である流通と市場が結びついたことにある。

とくに、室町期に鍛練された長船と福岡の「一文字派」の古備前が優れ、現存の多くは国宝か重文だという。だが福岡の刀鍛冶はとうに絶え、現在は長船のほんのわずかな刀鍛冶によって伝統が継がれている。

備前長船(おさふね)の刀については、備前長船刀剣博物館日本刀についてという各コーナー(刀剣の種類、日本刀の名称、日本刀が出来るまで、日本刀を飾る匠の技、刀身を研ぐ、はばきをつくる、鞘をつくる、鞘を塗る、柄を巻く、刀身彫り・鍔工、長船と備前刀)や岡山県立博物館デジタルミュージアム備前刀・備中刀などにおいて詳細に学ぶことができる。

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